婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
安心させようとしてくれいていると気づいたものの、全然安心できない。

「特別なことをしているつもりはなかったのですが」

「そうですね。アレクシア様は魔物がどこから生まれるかご存知ですか?」

「間の森の奥ですよね?」

「そうです。森の奥に、異界との門があり、そこを通って魔物がやって来ると言われています。そうやって現れた魔物は光魔法を嫌う性質を持っています」

「え? それは初耳です」

光魔法の使い手は少ないが、王都にはアレクシアのほかにも数人いる。それなりに研究が進められている属性なのだ。

しかし魔物への特攻効果は知られていない。

「そもそも間の森を守るのはブラックウェル公爵家の役割で、王都の貴族は関わらないものですからね、情報が少なくて当然です。こちらからも光魔法の使い手を送ってほしいなど要請を出していませんでした。メイナード様だってアレクシア様の力が分かってからも、そんなことは言わなかったでしょう?」

「ええ、それはたしかに」

「魔物はほかの属性の魔法でも剣技でも倒せます。攻撃手段に乏しい光魔法使いを護衛しながら連れて行くほどのメリットがないのですよ。メイナード様の場合はただ心配なだけでしょうが」

メイナードをちらりと見る。彼は居心地が悪いそうに、ルーサーに続きを急かした。
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