婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました

これからの幸福を示すような快晴の日。

王太子夫妻の結婚式は盛大に挙げられた。

花嫁衣裳姿のオーレリアの美しさは格別で、イライアスは心が浮き立つのを止められなかった。
初夜への期待が否が応でも高まる。

パレードのときは、民に見せつけるように腰を抱き寄せ頬に口づけた。
オーレリアは一瞬驚いた顔をしたものの、王太子妃らしく平然としたまま民に手を振っていた。

さすが自分の妃だと感心せずにはいられない。

セラはあれこれ言っていたがどう考えても、アレクシアよりもオーレリアの方が優れている。
民だって皆、羨望の眼差しで彼女を見ているではないか。

王太子夫妻の誕生に、誰もが熱狂している。

遥か昔の英雄と、つまらない女の影はもうどこにもない。

イライアスは満足して、民に大きく手を振ってみせた。


婚礼の儀と市中のパレード。そして夜は王太子夫妻を主役とした貴族との盛大な晩餐会。

一日中動き回りさすがに疲れていたが、これからはついに待ちに待ったオーレリアとの初夜だ。

イライアスは張り切って支度をして、新たに作った夫婦の部屋に向かった。

オーレリアは居間のソファーに優雅に腰をかけ待っていた。

純白の夜着に、濃紺に金の刺繍が施されたガウンを羽織っている。

普段の美しさに妖艶さが加わり、イライアスの頭を沸騰させた。

「オーレリア……綺麗だ」

彼女の隣に座り、肩を抱き寄せる。

「イライアス様」
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