婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
メイナードはアレクシアの頭にぽんと触れてから、汗を流しに浴室に向かった。

こんな風な自然の触れ合いが増えて来ているということに、夫は気づいているのだろうか。

(嬉しいな……)

その後、部屋に来たディナの手を借りて身支度を整え終えて直ぐに、ルイが到着したとの知らせが来た。

アレクシアが出迎えると、ルイはそれは嬉しそうに駆け寄ってきた。

「姉上、お久しぶりです!」

「ルイ!」

手を取り合って再会を喜ぶ姉弟を、メイナードは少し離れていたところで眺めている。

「メイナード様、弟のルイです」

「義(あ)兄(に)上(うえ)、初めてお目にかかります。ルイ・アークライトと申します。どうぞお見知りおきください」

礼儀正しいルイに、メイナードは好意を持ったようで、柔らかな笑みを浮かべる。

「メイナード・ブラックウェルだ。ルイ殿はアレクシアによく似ているな」

「はい。昔からよく母親違いとは思えないほど似ていると言われておりました。それから僕のことはルイと呼び捨ててください」

「ああ。ではルイ。久々に姉と再会したばかりで申し訳ないが、いくつか聞きたいことがある」

「もちろんです」

ルイは頷き、メイナードに促された席に着く。アレクシアも座り、丸いテーブルを三人で囲むような配置になった。
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