婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
「それは本当のことなのか? 俺には穏やかで気品ある女性に見えたが……お前はアレクシア嬢に会ったのか?」
「いいえ。屋敷を出てきたらうまく接近しようと思っていたんですけど、外出しませんでした」
「そうか……」
家に閉じこもり、彼女はなにを思っていたのだろう。
「……この輿入れはどうしても避けられないのか?」
確認するメイナードに、ルーサーが頷く。
「断った場合、王家との間に亀裂が生まれ当家としても面倒なことになります。だけどそれよりも困るのはアレクシア様です。メイナード様に断られてもどこかに嫁ぐでしょうが、その先を想像すると暗い気持ちになりますね」
ルーサーはいかにも気の毒そうに、首を横に振った。
わざとらしい態度に思えたが、言っていることに間違いはないのかもしれない。
(次の結婚相手も、悲惨な者だと言う訳か。と言っても)
「俺よりもひどい相手がいるとは思えないが」
ついそう零すと、ルーサーが大袈裟なくらい驚いてみせた。
「そんな訳がないでしょう! メイナード様の剣の腕は王国一番。しかも公爵。夫人になったら社交界で王族に次ぐ立場になれますよ。更に王家よりも大金持ちときているんですから」
「その条件がありがたがられるのは、俺が普通の男だった場合だ。この顔を見たら……」
「いいえ。屋敷を出てきたらうまく接近しようと思っていたんですけど、外出しませんでした」
「そうか……」
家に閉じこもり、彼女はなにを思っていたのだろう。
「……この輿入れはどうしても避けられないのか?」
確認するメイナードに、ルーサーが頷く。
「断った場合、王家との間に亀裂が生まれ当家としても面倒なことになります。だけどそれよりも困るのはアレクシア様です。メイナード様に断られてもどこかに嫁ぐでしょうが、その先を想像すると暗い気持ちになりますね」
ルーサーはいかにも気の毒そうに、首を横に振った。
わざとらしい態度に思えたが、言っていることに間違いはないのかもしれない。
(次の結婚相手も、悲惨な者だと言う訳か。と言っても)
「俺よりもひどい相手がいるとは思えないが」
ついそう零すと、ルーサーが大袈裟なくらい驚いてみせた。
「そんな訳がないでしょう! メイナード様の剣の腕は王国一番。しかも公爵。夫人になったら社交界で王族に次ぐ立場になれますよ。更に王家よりも大金持ちときているんですから」
「その条件がありがたがられるのは、俺が普通の男だった場合だ。この顔を見たら……」