婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
「怖がってメイナード様を嫌うと思いますか?」

ルーサーに言葉を遮られたメイナードは、少し驚いて口を閉ざした。

主君への遠慮のないルーサーだが、メイナードの発言を邪魔したことはこれまでなかったからだ。

「メイナード様、たしかにあなたの体は、謎の紋様に蝕まれていて、特殊な見かけになっています。でも俺は恐ろしいとは思いませんよ。メイナード様は優しく他人を思いやれるよい領主です。今、城にいる者たちはみんなそう思っているから、変わらずにお仕えしているんですよ」

いつになく真剣な表情のルーサーの言葉に、メイナードは動揺して視線を彷徨わせた。

「アレクシア嬢が噂通りの人柄なら無理でしょうが、もしそうではなく、メイナード様の直観したような優しい女性なら、見かけだけで相手を拒否するなんてことはないでしょう。案外仲のいい夫婦になれるかもしれません」

「仲のいい夫婦? 俺にはそんな関係は……」

「必要ないって言わないでくださいよ。メイナード様は素晴らしい人です。だから絶対に卑屈にならないでください。万が一アレクシア様が嫌な態度を取ったとしても、傷つくことはありません。こちらはなにも悪くない。もし文句を言われたら無視してしまいましょう。身分も立場もメイナード様の方が上なんですから問題はありません」

ルーサーは腕を組んで強気の発言をする。
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