婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
呆れたようなルーサーの言葉に、メイナードとアレクシアは気まずさでいっぱいだ。

「わ、忘れてなどいない」

「では話を進めていいですか? アレクシア様に肝心なことを言っていないので」

ルーサーの問いに、メイナードは「ああ」と相槌を打つ。

ルーサーはアレクシアの方に身体を向けた。

「アレクシア様、リリー子爵家はやはり特別な家系でした」

「どういうことですか?」

「古くはブラックウェル公爵家と同様に魔獣を退治する一族だったそうです。当家のような貴族ではありませんでしたが、一族の者はなぜか魔獣に強い体質だった為、皆を守って戦い出したのが始まり出そうです」

「まさか……」

にわかに信じられない話だ。母も祖母もそんな話は一切していなかったからだ。

「なぜ異界と繋がる門があるのか、魔獣はなぜ出てくるのか、リリー子爵家は錬金術を極める傍ら研究を続けているそうです」

「そうなんですか……叔父様はまだサザラント城に滞在を?」

できれば詳しい話が聞きたい。

「ええいらっしゃいますよ。大分弱っていたので保護しています」

「よかった……」

「戻ったらすぐに会いに行こう」

メイナードが、アレクシアの気持ちを察したように言う。

「はい!」
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