婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
それ以来公爵は領地に引きこもり、王都には一度たりとも顔を出していない。
当時は社交界はもちろん、民の間でも様々な憶測が囁かれた。敵の魔術師の呪(じゅ)詛(そ)を受けたとか、亡くなった人々の恨みが集まったのだとか。
公爵の体に起きた異変の真相を知る者はいないのに、人々はかつての英雄を恐れ避け、そしいつの頃からか彼を〝呪われ公爵〟と呼ぶようになったのだ。
(まさか私が、その呪われ公爵様に嫁げと言われるなんて……)
アレクシアはオールディス王国の名門貴族アークライト侯爵家の令嬢で、今年十六歳になる。
金髪碧眼という貴族社会で好まれる容姿と、高い魔力を備えているうえに、家柄と年齢の釣り合いが取れていることから、十年前に王太子イライアスの婚約者に選ばれた。
残念ながらイライアスとは馬が合わなくて、良好な関係を築くことが出来ないまま今日まで来てしまったのだが。
だからと言ってほかの男性に嫁ぐように命じられるなんて、一体どなにが起きているのか。
話が見えずに戸惑うアレクシアに、イライアスは疎ましそうな視線を向けてくる。
「私はオーレリアを妃に迎える」
「……はい」
それについては予想していた。
王太子イライアスが、ストライド子爵家の令嬢オーレリアに執心なのは、王都の住民なら誰でも知っているというくらい有名な話だからだ。
当時は社交界はもちろん、民の間でも様々な憶測が囁かれた。敵の魔術師の呪(じゅ)詛(そ)を受けたとか、亡くなった人々の恨みが集まったのだとか。
公爵の体に起きた異変の真相を知る者はいないのに、人々はかつての英雄を恐れ避け、そしいつの頃からか彼を〝呪われ公爵〟と呼ぶようになったのだ。
(まさか私が、その呪われ公爵様に嫁げと言われるなんて……)
アレクシアはオールディス王国の名門貴族アークライト侯爵家の令嬢で、今年十六歳になる。
金髪碧眼という貴族社会で好まれる容姿と、高い魔力を備えているうえに、家柄と年齢の釣り合いが取れていることから、十年前に王太子イライアスの婚約者に選ばれた。
残念ながらイライアスとは馬が合わなくて、良好な関係を築くことが出来ないまま今日まで来てしまったのだが。
だからと言ってほかの男性に嫁ぐように命じられるなんて、一体どなにが起きているのか。
話が見えずに戸惑うアレクシアに、イライアスは疎ましそうな視線を向けてくる。
「私はオーレリアを妃に迎える」
「……はい」
それについては予想していた。
王太子イライアスが、ストライド子爵家の令嬢オーレリアに執心なのは、王都の住民なら誰でも知っているというくらい有名な話だからだ。