婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
「アレクシア様があまりに不憫で……悪役令嬢だなんて根も葉もない噂を立てられたうえに、冤罪で追放されるなんてあんまりです」

どうやらディナは自分自身の行く末ではなく、アレクシアの境遇に嘆いてくれているようだった。

「ルイ様も悲しそうでした。国王陛下はなぜこんなひどい命令をなさるのでしょう」

「それは……多分、王太子殿下が進言したのだわ」

国王は半年前から体調が優れず、イライアス王太子が代理で政務を執っている。

状況的にあらゆる面でイライアスの意向が通りやすくなっているはずだから、父親の庇護がないアレクシアを追放するくらい簡単だろう。

「王太子殿下はアレクシア様のなにが不満だったのでしょう。理解できません。オーレリア嬢よりお嬢様の方が華やかで美しいし、魔力も家柄も上だというのに」

ディナはアレクシア側の人間だからそう言うが、客観的に見るとオーレリアはかなり優れた女性だ。

才色兼備で、努力家。芝居の影響もあり民からの人気はとても高く、社交界で一目置かれている。

彼女が抱えている問題は、家柄だけだった。それも彼女を愛するイライアスが全力で根回しをすれば、なんとかなるだろう。

「ディナ、私は王太子妃になれなかったことについては気にしていないわ。オーレリア様が選ばれたのも当然と思っているの」
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