婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
「で、ですがお嬢様は王太子妃になる為に熱心に学んでいたではないですか」

「それはアークライト侯爵家の娘としての義務だと思っていたから。でも本音を言うと王太子殿下に特別な想いがあった訳じゃないの。どちらかと言うと苦手だった」

ディナは目を丸くした。

「そうだったのですか……」

「ええ。王太子殿下の考え方にどうしてもついていけなくて。でもオーレリア様は殿下と相思相愛だから、気持ちの上でも今回の決定はいいと思うの。ただ……」

アレクシアは顔を曇らせた。

「ただ、なんでしょうか?」

「悪役令嬢なんて呼ばれるようになって、追放されてしまったのがね……考えると落ち込むし家族に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになるの」

将来家を継ぐルイの立場としても、姉が大勢の人々に嫌われ追放された身ではよくない。

(悪役令嬢って言われ始めたときに、もっと否定すればよかった)

今更だけれど、一時の噂だろうと甘くみて誤解を解く努力をしなかったことを後悔していた。

「落ち込むのは当然ですよ。でもルイ様が誤解を解くように動くとおっしゃっていたので、いずれ身の潔白が証明されますよ」

「え、ルイがそんなことを?」

「はい。張り切っておられました」

ディナが嬉しそうにそう答えたが、アレクシアは顔を曇らせた。
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