婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
憤慨するディナにアレクシアは内心溜息を吐いた。自分を思ってくれての言葉だと分かっているが、こんな調子では嫁ぎ先で批判を浴びてしまいそうだ。
「心配してくれる気持ちは嬉しいけれど、公爵家にだってたくさん文句があるだろうからお互い様だわ。それから呪われ公爵と呼ぶのは止めてほしいの。もちろん私も言わないようにする」
アレクシアもそれが彼の本名であるかのように自然に口にしていたが、あまりに失礼なことだった。
(呪われてるというのも噂で、実際本人と会った人はいないのに)
病になったのはたしかだろうが、もう十年も前の話だし回復している可能性はある。
社交界に出ずに引きこもっているのは、人々の態度にうんざりしたからなのかもしれないし……とにかく実際会ってみなければどんな人かなんて分からない。
「公爵領にいる人々は皆公爵様の味方で、無礼な言動を取れば私たちの立場は悪くなる。向こうにいったら私たちは余所者なのだから気をつけないと。ディナにも苦労をかけるけど、お願いね」
「私のことはどうでもいいんです。でもアレクシア様が蔑ろにされるようなことがあったら、許せません」
「ありがとう。でも公爵家の人々こそ私を許せないと思っていてもおかしくないわ」
(考えてみたら、公爵様には恋人がいた可能性だってあるのだもの)
王命のせいで幸せなふたりを引き裂いてしまったのかもしれないのだ。
「心配してくれる気持ちは嬉しいけれど、公爵家にだってたくさん文句があるだろうからお互い様だわ。それから呪われ公爵と呼ぶのは止めてほしいの。もちろん私も言わないようにする」
アレクシアもそれが彼の本名であるかのように自然に口にしていたが、あまりに失礼なことだった。
(呪われてるというのも噂で、実際本人と会った人はいないのに)
病になったのはたしかだろうが、もう十年も前の話だし回復している可能性はある。
社交界に出ずに引きこもっているのは、人々の態度にうんざりしたからなのかもしれないし……とにかく実際会ってみなければどんな人かなんて分からない。
「公爵領にいる人々は皆公爵様の味方で、無礼な言動を取れば私たちの立場は悪くなる。向こうにいったら私たちは余所者なのだから気をつけないと。ディナにも苦労をかけるけど、お願いね」
「私のことはどうでもいいんです。でもアレクシア様が蔑ろにされるようなことがあったら、許せません」
「ありがとう。でも公爵家の人々こそ私を許せないと思っていてもおかしくないわ」
(考えてみたら、公爵様には恋人がいた可能性だってあるのだもの)
王命のせいで幸せなふたりを引き裂いてしまったのかもしれないのだ。