婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
思わず叫ぶと、彼女が勢いよく振り返る。
近づくにつれて顔がはっきりと見えてきた。彼女は驚いているようで、空色の瞳を丸くしている。
「旦那様?」
アレクシアの直ぐ目の前で立ち止まる。
「無事か?」
「え?」
彼女は戸惑っているが恐怖を感じている様子はない。どうやら魔獣に遭遇はしていないようだ。
「いったいどうされたのですか?」
「この辺りに魔獣が逃げ込んだ。危険があるからあなたは部屋に戻ってくれ」
「魔獣?」
アレクシアはひどく驚いた様子で、目を見開く。彼女の侍女が小さな悲鳴を上げた。
「逃げ込んだって、ここは城の中なのに」
魔獣など見たこともないであろうアレクシアは茫然としている。
しかし事情を聞くうちに、彼女が先ほどの魔獣と既に遭遇していたことを知った。怪我をした鳥だと思い込んでいたそうだ。
しかも傷を癒そうと治癒魔法を使ったら消滅してしまったと言う。
生まれてからこの地で暮らし、誰よりも魔獣に詳しいメイナードですら聞いたことがない事象だった。
(調べる必要があるな……それにしても、彼女の魔法について隠されていたのはなぜだ?)
王家と彼女の実家の侯爵家から届いた身上書の中にあった彼女についての情報には、そのような内容は一切なかった。
近づくにつれて顔がはっきりと見えてきた。彼女は驚いているようで、空色の瞳を丸くしている。
「旦那様?」
アレクシアの直ぐ目の前で立ち止まる。
「無事か?」
「え?」
彼女は戸惑っているが恐怖を感じている様子はない。どうやら魔獣に遭遇はしていないようだ。
「いったいどうされたのですか?」
「この辺りに魔獣が逃げ込んだ。危険があるからあなたは部屋に戻ってくれ」
「魔獣?」
アレクシアはひどく驚いた様子で、目を見開く。彼女の侍女が小さな悲鳴を上げた。
「逃げ込んだって、ここは城の中なのに」
魔獣など見たこともないであろうアレクシアは茫然としている。
しかし事情を聞くうちに、彼女が先ほどの魔獣と既に遭遇していたことを知った。怪我をした鳥だと思い込んでいたそうだ。
しかも傷を癒そうと治癒魔法を使ったら消滅してしまったと言う。
生まれてからこの地で暮らし、誰よりも魔獣に詳しいメイナードですら聞いたことがない事象だった。
(調べる必要があるな……それにしても、彼女の魔法について隠されていたのはなぜだ?)
王家と彼女の実家の侯爵家から届いた身上書の中にあった彼女についての情報には、そのような内容は一切なかった。