婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
『アレクシア様は私を嫌っているようです。イライアス様と親しくしている私の存在が不快なのは仕方がありませんが、侯爵家の権力を使い迫害までされては……このままでは私は殺されてしまうかもしれません』
『まさかそんなことが! 大人しそうな顔をして何という悪女だ!』
項垂れるオーレリアの言葉を聞き、憤慨した。誰であろうと美しい彼女にひどい仕打ちをするなど許されないと言うのに。
しかも元々目障りなアレクシアの仕業となれば、怒りは倍増する。
『俺の婚約者の立場を笠に着てやりたい放題だな。しかしいくら身分高い貴族といえども、同じ貴族に危害を加えるのは犯罪だ。あの女を糾弾して裁判にかけよう、もちろん婚約破棄を突き付ける』
裁判をして皆の前で、化けの皮を剥がしてやるのだ。
イライアスは意気込み早速行動に出ようとしたが、当のオーレリアが止めてきた。
『いけません。裁判になどしたらアレクシア様の将来に傷がつきます。内内の話で収めることはできませんか?』
傷つけられたにもかかわらず、加害者を気遣うオーレリアはなんて情け深いのだろうと感心する