婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
ルイは必死の様子で声を高くする。今回の命令がどうしても受け入れられないのだろう。
寄り添い怒ってくれる弟の気持ちが嬉しくて、アレクシアの憂(ゆう)鬱(うつ)に沈んでいた心に光が差した。
(皆に悪役令嬢と言われ、王太子殿下にも疎まれてしまったけれど、私には親身になってくれるルイがいる)
アレクシアはルイに微笑みかけた。
「ルイ、これは王命なのよ。貴族にとって絶対従わなくてはならないものでしょう?」
「そ、それは……でも納得がいきません」
ルイは悔しそうに唇を噛み締める。
「私も同じ気持ちだけど受け入れるしかないわ。お父様とパメラ様だって、逆らう様子はなかったでしょう?」
ルイのように慌てて事情を聞きに来ないことが、ふたりの意思を表している。どんな経緯が有ったとしても考慮せずに、王命に従いアレクシアを嫁がせるつもりなのだろう。
アークライト侯爵夫人パメラは、アレクシアの父の後妻でルイの母親だ。
アレクシアの母が亡くなった十年前に、幼いルイと共に侯爵家本邸に入ったが当時からなにかと前妻の子であるアレクシアを疎み避けていた。
ルイが後継者として順調に成長してきた今でもそれは続き、あからさまにアレクシアを邪魔もの扱いする。
寄り添い怒ってくれる弟の気持ちが嬉しくて、アレクシアの憂(ゆう)鬱(うつ)に沈んでいた心に光が差した。
(皆に悪役令嬢と言われ、王太子殿下にも疎まれてしまったけれど、私には親身になってくれるルイがいる)
アレクシアはルイに微笑みかけた。
「ルイ、これは王命なのよ。貴族にとって絶対従わなくてはならないものでしょう?」
「そ、それは……でも納得がいきません」
ルイは悔しそうに唇を噛み締める。
「私も同じ気持ちだけど受け入れるしかないわ。お父様とパメラ様だって、逆らう様子はなかったでしょう?」
ルイのように慌てて事情を聞きに来ないことが、ふたりの意思を表している。どんな経緯が有ったとしても考慮せずに、王命に従いアレクシアを嫁がせるつもりなのだろう。
アークライト侯爵夫人パメラは、アレクシアの父の後妻でルイの母親だ。
アレクシアの母が亡くなった十年前に、幼いルイと共に侯爵家本邸に入ったが当時からなにかと前妻の子であるアレクシアを疎み避けていた。
ルイが後継者として順調に成長してきた今でもそれは続き、あからさまにアレクシアを邪魔もの扱いする。