政略結婚ですが、身ごもったら極上御曹司に蕩けるほど愛されました
初デート
「晴れてよかったな」
ハンドルを握る翔吾の笑顔が眩しい。
助手席で、柚子は目を細めて頷いた。
臨海公園までは、車で約四十分ほど。少し遅い朝食を取ってふたりは家を出た。
柚子の体調はまだ万全とはいえないものの、今日はそれほどひどくはなかった。
食欲だけはあいかわらずあまりなくてサラダのトマトしか口にできず、翔吾に心配をかけてしまったけれど、柚子が妊娠しているものと思い込んでいる彼は、つわりだと思い納得したようだ。
昼食は外で取ることにしているから『柚子が食べられそうなものにしような』と優しい言葉をかけてくれた。
晴天の空の下、翔吾が運転する車は海の方へ向かって走る。
少しだけ開いた窓から吹き込む風に潮の香りをわずかに感じて、柚子はゆっくりと目を閉じた。
「寒くないか?」
翔吾の言葉に柚子は首を振る。
「大丈夫」
久しぶりに感じる日差しが、身体にしみこむようで心地よかった。
「気分は? 悪くない?」
「大丈夫」
「のど渇いたりしてないか? そこにペットボトルの水が……」
そこで柚子は思わず噴き出して、笑い出した。
「翔君、お母さんみたい!」
小さい子供じゃないんだから、喉が渇いたら自分でなんとかするに決まっているのに。
彼ってこんなに心配症だった?
そんなことを思いくすくすと笑いが止まらない。
「少し顔色が戻ったな」
翔吾がホッとしたように言った。
「ずっと顔色が悪かった。まぁ、この時期は仕方ないのかもしれないが、笑顔が出たのは安心したよ。最近ずっと不安そうだったから」
柚子の胸がちくりと痛む。
柚子の顔色が悪かったのも、不安そうに見えたのも全部柚子が彼に対して秘密を抱えているからだ。
そんな風に心配してもらう資格はない。
ハンドルを握る翔吾の笑顔が眩しい。
助手席で、柚子は目を細めて頷いた。
臨海公園までは、車で約四十分ほど。少し遅い朝食を取ってふたりは家を出た。
柚子の体調はまだ万全とはいえないものの、今日はそれほどひどくはなかった。
食欲だけはあいかわらずあまりなくてサラダのトマトしか口にできず、翔吾に心配をかけてしまったけれど、柚子が妊娠しているものと思い込んでいる彼は、つわりだと思い納得したようだ。
昼食は外で取ることにしているから『柚子が食べられそうなものにしような』と優しい言葉をかけてくれた。
晴天の空の下、翔吾が運転する車は海の方へ向かって走る。
少しだけ開いた窓から吹き込む風に潮の香りをわずかに感じて、柚子はゆっくりと目を閉じた。
「寒くないか?」
翔吾の言葉に柚子は首を振る。
「大丈夫」
久しぶりに感じる日差しが、身体にしみこむようで心地よかった。
「気分は? 悪くない?」
「大丈夫」
「のど渇いたりしてないか? そこにペットボトルの水が……」
そこで柚子は思わず噴き出して、笑い出した。
「翔君、お母さんみたい!」
小さい子供じゃないんだから、喉が渇いたら自分でなんとかするに決まっているのに。
彼ってこんなに心配症だった?
そんなことを思いくすくすと笑いが止まらない。
「少し顔色が戻ったな」
翔吾がホッとしたように言った。
「ずっと顔色が悪かった。まぁ、この時期は仕方ないのかもしれないが、笑顔が出たのは安心したよ。最近ずっと不安そうだったから」
柚子の胸がちくりと痛む。
柚子の顔色が悪かったのも、不安そうに見えたのも全部柚子が彼に対して秘密を抱えているからだ。
そんな風に心配してもらう資格はない。