政略結婚ですが、身ごもったら極上御曹司に蕩けるほど愛されました
だが肝心の彼女の妊娠をまだ誰にも言えない以上、どう答えるのが正解かすぐに言葉が浮かばなかなった。
翔吾は口元に手をあてて、少しの間考え込む。
そして迷いながら口を開いた。
「それは……内容を聞いて俺が判断するよ。申し訳ないが、その都度確認してくれないか」
「わかりました」
秘書は頷いて、少しだけ残念そうに口を開いた。
「ですがもしも奥さまがお見えになる機会が減るとなると、残念がる方が少なからずいらっしゃるでしょうね」
その言葉に翔吾は眉を上げた。
「パーティなどでの副社長ご夫婦のお姿は密かに評判でしたから。特に奥さまのさりげないお気遣いと、可憐な笑顔は、どちらかというと女性に対する評価の厳しい財界の奥様方からも評判でした」
翔吾は口元が緩みそうになるのをなんとかこらえながら、意味ありげに微笑む秘書から目を逸らした。
結婚してから半年、こんな風に柚子のことを褒められる機会は実は数えきれないくらいあった。
それを今までの翔吾は、いつも複雑な思いで受け止めていた。
朝比奈家のグループ副社長の妻というどうしても財界の人々から注目される難しい立場に、自らとの結婚により柚子を追い込んだことに罪悪感を覚えていたからだ。
だが柚子が新しい命を授かり、家族となることに迷いを捨て去った今、改めてこんな風に彼女を褒められると今までとはまた違った心境になるのだから不思議だった。
もちろん結婚生活を続ける以上、柚子の立場はこれからも変わらない。
自分と結婚したことが彼女の負担になっていることは事実だろう。
それでも。
翔吾は口元に手をあてて、少しの間考え込む。
そして迷いながら口を開いた。
「それは……内容を聞いて俺が判断するよ。申し訳ないが、その都度確認してくれないか」
「わかりました」
秘書は頷いて、少しだけ残念そうに口を開いた。
「ですがもしも奥さまがお見えになる機会が減るとなると、残念がる方が少なからずいらっしゃるでしょうね」
その言葉に翔吾は眉を上げた。
「パーティなどでの副社長ご夫婦のお姿は密かに評判でしたから。特に奥さまのさりげないお気遣いと、可憐な笑顔は、どちらかというと女性に対する評価の厳しい財界の奥様方からも評判でした」
翔吾は口元が緩みそうになるのをなんとかこらえながら、意味ありげに微笑む秘書から目を逸らした。
結婚してから半年、こんな風に柚子のことを褒められる機会は実は数えきれないくらいあった。
それを今までの翔吾は、いつも複雑な思いで受け止めていた。
朝比奈家のグループ副社長の妻というどうしても財界の人々から注目される難しい立場に、自らとの結婚により柚子を追い込んだことに罪悪感を覚えていたからだ。
だが柚子が新しい命を授かり、家族となることに迷いを捨て去った今、改めてこんな風に彼女を褒められると今までとはまた違った心境になるのだから不思議だった。
もちろん結婚生活を続ける以上、柚子の立場はこれからも変わらない。
自分と結婚したことが彼女の負担になっていることは事実だろう。
それでも。