下弦の月
そのキスは、



激しく深くなって……




溶けてしまいそうで、スーツの上着をギュッと握ると。




部長にソファーに押し倒されていた。






唇が離されると、透明の糸で繋がれていたけれど。



すぐに…途切れて部長の口の端から流れ落ちて、




瞳は今まで見たことがない、見ることのなかった艶っぽい瞳だった。




こんな瞳を見せられたら、理性なんて吹き飛んでしまって。




唇を寄せると、





「待て……またキスしたら、もう止まらなくなる……」





部長の言葉に止められたが、



理性の吹き飛んだ身体は、部長を求めている。







「止めないで…」





あまりに、艶っぽい声が自分の口から出た事に驚きながらも…




もう一度…唇を寄せると。






「…お前ってやつは…俺の気も知らねぇで、そんな事を言われたら…そんな瞳で見つめられたら…止められねぇよ…」








ソファーから降りた部長は、



スーツの上着を脱ぎ捨てたから。




私も起き上がって、スーツの上着を脱ぐと。






身体は宙に浮いて……




グレーのシーツの上に沈められた。
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