下弦の月
私の身体に覆い被さって、





「あいつに…どこを…触られた?」





余裕のない声で…聞かれて…、



激しく煩いくらいの鼓動は、更に増していたけれど。




私の鼓動と同じくらい、部長の鼓動も…



私の耳に響くくらいに激しく鳴っている。







「首を舐められて…下着の上からだけど…胸も…触られた…」






「…っ…なら…そこに…俺の痕を残してやる…」









唇を重ねながら、私の身体を起こして。




足の上に乗せられて。




キャミソールとカットソーを一緒に脱がされて、




首に腕を回すと……さっきと同じ激しく深いキスに、





下着のホックを外す音と、



お互いの唾液の混じり合う音が、




耳に響いて……甘い電流が全身に流れた。





私も早く、部長の肌の温もりを直に感じたくて。




ネクタイを外して、Yシャツのボタンを一つずつ外し終わると。




自分からYシャツを脱いでくれた。







あの人に舐められた首を、



部長に舐め上げられる度に……




淫らな声が漏れてしまう。




スーツを着れば、ギリギリ見えるか見えないかの際どい場所を……




強く唇を押し付けられて、チクッと痛みが走って。




紅い華を咲かせられたのだとわかった。







私の身体に、部長の手が這い。




唇が、甘い音を立てて身体に触れる度に。




幸せって言葉が当てはまる快感が、



私を次第に狂わせていく。









ひとつに身体が重なった時には、




甘い痺れが脳天まで刺激して。






「…柊輔…さ…ん…」






無意識に、名前を呼んでいた。






それに答えるように、






「…月香…好きだ…」





そう、囁くように言われた言葉で。






あの日、土方さんが言った最後の言葉を思い起こさせた。






『俺の死は別れではない。未来での始まりだ』






今日……この瞬間から、




土方さんが言ってた私達の未來が始まった。
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