下弦の月
「だったら…離さないでね。誰に誘惑されても…」






「当たり前だろ。俺は…月香が思ってる以上に月香を好きだからな。」





こんな場所で、顔が赤くなるような事をサラッと、



言っちゃうんだから……この人には敵わない。




「なんか戻る気も失せたな。明日…朝早く出るつもりだから、抜けるか?」





「…それ…は…怪しまれない?」





「かなり酔ってる連中ばかりだから…気付かねぇよ。」





「…うん…栞ちゃんにだけ伝えてくる…」





「ああ…先に出てタクシー捕まえておく。」






頷いてから、個室に戻って。




栞ちゃんに目配せすると、察してくれたようで、




一緒に個室を出て、





「何か聞かれたら…適当に誤魔化しておきます。」





「ありがとう。」





にっこり笑って答えてくれた。





私達は明日、柊輔さんの趣味だという釣りに行く約束をしていた。




釣りが趣味って以外だったけれど、




父と兄と小さい頃は、よく行っていて釣りは私も好きだから。




二つ返事で一緒に行く事にした。
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