下弦の月
今日も残業していて、コーヒーでも飲もうと給湯室に行くと。
既にそこには二つの人影が見えた。
柊輔さんと大島さんだ。
大島さんの腕は、柊輔さんの首に回され。
柊輔さんの腕は、大島さんの腰に回されていて。
キスをしている。
どうして?どういうこと?
訳がわからない、早く此処から立ち去りたいけれど。
足が動かない。
下を向いたままだった私の前に影が出来て、
涙を浮かべていたから滲む視界で影を見上げると。
健ちゃんが立っていた。
私の耳に唇を寄せて、
おいで。と囁いて、私の腕を掴んで。
喫煙室に連れて行かれた。
「ここなら、俺しか見てないから泣きなよ?」
「大丈夫…」
そんな健ちゃんの優しい言葉を私は素直に聞き入れて。
泣くことなんて出来なかった。
煙草を吸いながら、片腕で私を抱き締めて。
「嫌な現場を見たな。俺達もキスする?」
腕から逃れようと、身動ぎしながら健ちゃんを見上げて、
睨み付けると。
「おあいこ、だろ?」
そう言って、煙草を灰皿に投げ入れて。
顎に指を添えられ、唇を奪われた。
柊輔さんとは、違う煙草と香水の香りが懐かしくもあり。
今は嫌で仕方がない。
抵抗しても敵わないのに、抵抗すればまた捕らえられて。
唇を奪われる。
ようやく、離された唇を下を向いて拭うと。
「そんなに嫌だった?」
「当たり前じゃない。」
「いいだろ、あいつだって大島さんとキスしてたし。さっき、おあいこだって言っただろ?」
「私は…柊輔さんを信じてる…」
健ちゃんの言葉に強気で返したけれど、
健ちゃんを見上げる視界は滲んでいて、
喫煙室を飛び出して、デスクに戻った。
既にそこには二つの人影が見えた。
柊輔さんと大島さんだ。
大島さんの腕は、柊輔さんの首に回され。
柊輔さんの腕は、大島さんの腰に回されていて。
キスをしている。
どうして?どういうこと?
訳がわからない、早く此処から立ち去りたいけれど。
足が動かない。
下を向いたままだった私の前に影が出来て、
涙を浮かべていたから滲む視界で影を見上げると。
健ちゃんが立っていた。
私の耳に唇を寄せて、
おいで。と囁いて、私の腕を掴んで。
喫煙室に連れて行かれた。
「ここなら、俺しか見てないから泣きなよ?」
「大丈夫…」
そんな健ちゃんの優しい言葉を私は素直に聞き入れて。
泣くことなんて出来なかった。
煙草を吸いながら、片腕で私を抱き締めて。
「嫌な現場を見たな。俺達もキスする?」
腕から逃れようと、身動ぎしながら健ちゃんを見上げて、
睨み付けると。
「おあいこ、だろ?」
そう言って、煙草を灰皿に投げ入れて。
顎に指を添えられ、唇を奪われた。
柊輔さんとは、違う煙草と香水の香りが懐かしくもあり。
今は嫌で仕方がない。
抵抗しても敵わないのに、抵抗すればまた捕らえられて。
唇を奪われる。
ようやく、離された唇を下を向いて拭うと。
「そんなに嫌だった?」
「当たり前じゃない。」
「いいだろ、あいつだって大島さんとキスしてたし。さっき、おあいこだって言っただろ?」
「私は…柊輔さんを信じてる…」
健ちゃんの言葉に強気で返したけれど、
健ちゃんを見上げる視界は滲んでいて、
喫煙室を飛び出して、デスクに戻った。