下弦の月
程好く、回ったお酒のせいか…何なのかはわからないけれど。





しまった…と思った時には遅かった。







「桜?柊輔と見に行く約束でも?」





健ちゃんの鋭い視線に捕まった。





「…あっ…うん…京都にね…」





視線を隣に座る柊輔さんに向けると、





「…有給使って、決算が終わったら泊まりで行くつもりだったんだ…」






照れ臭そうに…答えてくれた柊輔さん。






「なるほど。今ならまだ、間に合うだろ?ギリギリ。行って来いよ?」






そんな、温かい言葉をくれたけれど……







「でも…小島さんの面倒はどうするの?」






その心配がある。



だから、柊輔さんも何も言わなかったんだと思う。







「私が、見ますよ。月香さんが休みの間。」






「いやいや…大変じゃない?」






「いいんですよ。しっかり休んで来て下さい。」






「そうだな。休んで来い、お前たちが休み明けたら俺達が有給取らせて貰うから、な?」






チラッと柊輔さんを窺うと、うっすら笑みを浮かべていて。






「ありがとな。」






優しい笑顔で、二人を見つめていた。









月曜日に、私達は来週の月曜に有給申請を出した。




さすがに、明日明後日は通らないだろうという柊輔さんの判断だったから。






しかし、楽しみの前にある秋本くんと小島さんの歓迎会で……




ついに2人は、キレさせちゃいけない人をキレさせてしまう。
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