下弦の月
それから、更に暑さを増した真夏のある日ーーー。








屯所から帰る途中、




巡察帰りの沖田さんに捕まって。







「今日さ…花火大会らしいよ。よかったら、見に行かない?屋台も出るみたいだから浴衣でも着て八重さんと。」






「えっ…?行きたいです。」






「うん、迎えに行くように誰かさんに伝えておくね。」






頭を撫でながら、そう言われて頬を赤らめながら。




沖田さんに頭を下げて、八重の家に戻った。








帰ってすぐに八重に伝えると、



知っていたらしく八重は、浴衣を準備していた。




紫の風呂敷に包まれた物を私の前に置いた。






「土方さんからよ。月香が帰って来たら、着せてやってくれ。って置いて行ったわ。」






「えっ?そういえば、帰る時は屯所に居なかった…」






「きっと、これを買いに行ったのね。さあ、開けて見なさいよ。土方さんが月香のために見立てた浴衣よ。」






頷いて、開けて見ると。






紺地に紫と桜色の牡丹がたくさん描かれた浴衣に、桜色の帯が入っていた。






綺麗…。




思わず呟いていた。




同じように、八重も呟いていて。








その浴衣を着せてくれて、髪もお団子にしてくれた。
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