下弦の月
その後、土方さんは江戸の頃の皆との思い出話をしてくれた。






どの話をする時も、楽しそうに懐かしそうに話すから。





私まで楽しい気分になっていた。














除夜の鐘が、






ゴォーン、ゴォーンと鳴って、






どちらからでもなく、重ねられた唇は、





何度も何度も離されては重なって、何度目かわからないキスの合間に、






「あけまして、おめでとう。今年も宜しくな。」






「はい、おめでとうございます。今年も、こちらこそ宜しくお願いしす。」






新年の挨拶を交わして、顔を寄せれば。




また、唇を重ねてくれた。











切なくてもいい。





今、この瞬間だけでも土方さんが私を受け入れてくれるなら。
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