下弦の月
新しい年が明けてから、




後に、ぜんざい屋事件と呼ばれる土佐勤王党による大坂城乗っ取り計画が起こり。




京からも隊士は出動し、無事に阻止して。




出動した皆は無傷で帰って来た。




私はと謂えば……、





土方さんが、伊東さんに釘を指してくれたのか……




何も言われなくなったが、私を見ると怪訝そうな顔をするのは変わらない。









真冬の冷たい雪が降っているある日の事。








山南さんは、ついに屯所を脱走してしまった。





そしてーーー。






大津まで逃げたが、捕らえられて。




翌日……屯所にて、切腹した。




それを、その翌日に…髪結いに来た平助くんから聞いて。





平助くんが、帰った後……





八重の胸にすがり付いて泣きじゃくった。






そんな私に、







「月香…山南さんはね、あんたに新撰組の基盤の土方さんを託したんだよ。だから、土方さんの側に居てあげな。土方さんは、月香以上に山南さんと付き合いは長いから…辛いはずだよ。本当は、切腹なんてさせたくなかったに違いない。」






と…自分の袖で涙を拭ってくれた八重。




早く行っておいで。と言ってくれたから、




降り頻る雪の中を走った。
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