下弦の月
次第に、荒々しく激しくなるキスは、



息をする事さえ許されなくて、苦しい。



だけど、土方さんは私なんかよりもっと苦しくて……辛いはず。




拒むことなく、離されては何度も重なる唇を受け止める。





座って居られず、倒れそうな身体を土方さんに支えられるようにして。




畳の上に身体は置かれていて、それでも離されない唇。




初めての土方さんとの熱いキス。





激しくて、溶けてしまいそう。







ようやく息をちゃんと出来るようになっていて、




唇が離された、と気付いて瞳を開けると、




鼻がぶつかる程の至近距離に土方さんの綺麗な顔があって。






真ん中で分けられた、長い前髪が頬を擽る。





交わっている瞳は、妖艶で。




逸らすことは出来なくて、吸い込まれてしまう。









「…月香…そんな…瞳で見るな…抑えられなくなる…」





「…いいですよ…土方さんとなら…」





「…っ…月香……お前……たが…今は…止めとく…」





「…土方さん…」








身体は、離されて。





少し離れた位置で、胡座をかいて座った。





起き上がると……







「お前を……大切にしたいんだ。」





既に、日は落ちて…薄暗い部屋でもわかる土方さんの赤い顔、




私の顔も赤いに違いない。






「だが……今日は……側に居てくれるか?」





はい。頷くと、優しく肩を抱かれた。





そして、今度は優しく唇が重なった。
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