下弦の月
季節は流れ、秋になり。





もうすぐ冬到来の兆しがする十一月。







わかっていた、もう何度目かわからない別れがやって来た。









「絶対に……平助くんを助けて、土方さん!」







後に油小路事件と呼ばれる、御陵衛士を消す日。





伊東さんの接待に向かう土方さんに懇願した。








「…わかってる、近藤さんにも言われてるしな。殺るのは…原田の十番組と永倉の二番組だ。既に二人には伝えてある。」







そう、言ってくれた。





だけど、本当に助かったら歴史は変わる?




少しくらい変わっても…大丈夫だよね。






変えちゃいけないと、思っていたけれど……




皆との時間と思い出が、私にそう思わせていた。






だけど……歴史は、そう簡単には変わらなかった。






事情の知らない隊士に、平助くんは斬られてしまい。





若過ぎる命を落とした。
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