下弦の月
原田さんも永倉さんも、






すまなかった、と頭を下げたが……




彼らのせいでも、斬った隊士のせいでもない。





これは……彼の、平助くんの宿命。





わかってはいても、悲しいものは悲しい。








もう何度目だろう。






土方さんの胸で、声を上げて泣いた。





悲しいのは、同じに違いない。




土方さんも私を抱き締めながら、震えていた。






彼は、決して涙は流さずに堪え続ける。




堪えているせいか……身体を震わせている。





山南さんの時も同じだった。





泣いた方が…楽なのに。




だけど、これが土方さんなのかもしれない。






震える身体を受け止める人が側に居れば、楽になれるのだろう。





その人が、私なら……それでいい。





支えになれてるって事だから。






山南さんの時みたいに、私は土方さんと一つの布団で朝を迎えた。

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