下弦の月
数日後ーーー、
宿を訪ねて来た斎藤さんの口から…また新たな訃報を聞いた。
「総司が…亡くなったそうです…八重から文が届きました…」
斎藤さんは、その文を土方さんに差し出した。
文を読み終わった土方さんは、文を斎藤さんに返すと。
「斎藤…すまねぇが、月香と二人にしてくれ。知らせてくれて…ありがとな…」
頷いた、斎藤さんは私の肩を叩いて…
瞳が合わさると、小さく頷いた。
斎藤さんの足音が聞こえなくなってすぐ、
土方さんは乱暴に私を引き寄せて…
痛いくらいに抱き締める。
「…総司…は…生意気で…何かに付けて俺を…からかって…それでも…手のかかる奴でも…本当の弟みたい…だった…」
「…はい…何だかんだで、沖田さんも土方さんを…慕ってたと思います…」
「…ああ…あいつは…最後まで…近藤さんの剣になると聞かなかったらしいぜ…何度も抜け出そうとしたんだと…総司らしいよな…」
「…はい…実は…近藤さんと大坂に行く前に、沖田さんに言われたんです。」
“僕が近藤さんの剣なら土方さんは近藤さんの頭脳なんだよ。土方さんだから、近藤さんは引っ張って行けてるんだ。手足の僕達は代えが利くけど、頭は代えが利かないでしょ?だけど、あの人は誰も望んでないのに…自ら鬼役を勝手出て、本当は寂しがりやで甘えたがりな所があるくせに。だからこそ心配なんだ、頼んだよ。我儘で自分勝手な、あの人の心は…月香ちゃんが守ってあげて”
「そう、言って…笑ってました…」
「あいつ…生意気な事を…言いやがって…自分こそ俺と同じじゃねぇか…」
皮肉を言いながらも、嬉しそうな声音に安心した私に。
「今度は…お前だ。また堪えてんだろ?」
なんて、背中を擦られて言ってくれるから……
「もっと…もっと…生きて欲しかった…また…あの無邪気な笑顔が…見たかった…」
と、泣きじゃくった。
「そうだな…あいつは辛いはずなのに、泣き言なんて言わずに着いて来てくれた…いつも笑ってな…」
もう、こんな涙は……流したくない。
辛い悲しい別れなんて……いや。
宿を訪ねて来た斎藤さんの口から…また新たな訃報を聞いた。
「総司が…亡くなったそうです…八重から文が届きました…」
斎藤さんは、その文を土方さんに差し出した。
文を読み終わった土方さんは、文を斎藤さんに返すと。
「斎藤…すまねぇが、月香と二人にしてくれ。知らせてくれて…ありがとな…」
頷いた、斎藤さんは私の肩を叩いて…
瞳が合わさると、小さく頷いた。
斎藤さんの足音が聞こえなくなってすぐ、
土方さんは乱暴に私を引き寄せて…
痛いくらいに抱き締める。
「…総司…は…生意気で…何かに付けて俺を…からかって…それでも…手のかかる奴でも…本当の弟みたい…だった…」
「…はい…何だかんだで、沖田さんも土方さんを…慕ってたと思います…」
「…ああ…あいつは…最後まで…近藤さんの剣になると聞かなかったらしいぜ…何度も抜け出そうとしたんだと…総司らしいよな…」
「…はい…実は…近藤さんと大坂に行く前に、沖田さんに言われたんです。」
“僕が近藤さんの剣なら土方さんは近藤さんの頭脳なんだよ。土方さんだから、近藤さんは引っ張って行けてるんだ。手足の僕達は代えが利くけど、頭は代えが利かないでしょ?だけど、あの人は誰も望んでないのに…自ら鬼役を勝手出て、本当は寂しがりやで甘えたがりな所があるくせに。だからこそ心配なんだ、頼んだよ。我儘で自分勝手な、あの人の心は…月香ちゃんが守ってあげて”
「そう、言って…笑ってました…」
「あいつ…生意気な事を…言いやがって…自分こそ俺と同じじゃねぇか…」
皮肉を言いながらも、嬉しそうな声音に安心した私に。
「今度は…お前だ。また堪えてんだろ?」
なんて、背中を擦られて言ってくれるから……
「もっと…もっと…生きて欲しかった…また…あの無邪気な笑顔が…見たかった…」
と、泣きじゃくった。
「そうだな…あいつは辛いはずなのに、泣き言なんて言わずに着いて来てくれた…いつも笑ってな…」
もう、こんな涙は……流したくない。
辛い悲しい別れなんて……いや。