下弦の月
瞳は潤んでいて、頬を紅く染めて見つめるのは反則だ。





落ち着くまで、待ってやろうと思ったが……




待ってやれない事はわかっていても俺を求める言葉を、




月香の口から聴きてぇ。






「俺が…欲しいか?」





行灯の橙色の灯りが月香の瞳に反射して、



妖艶さを増している。






「…はい…ひとつに繋がりたい…」






声も掠れて、艶っぽく俺を更に高ぶらせる。身体を畳に倒し、



二つの身体が、ひとつに繋がった時、




月香は一筋の綺麗な雫を流した。






手を握り、指を絡めれば。



強く握り返し、律動に合わせて漏れる甘い声が俺を狂わせて。





先に俺が……達きそうになる。







初めて………



快楽を求めるだけでなく、




こんなにも強く、誰かを愛しく、





ずっと繋がっていたいと、




想える、この行為があることに驚いた。





無性に、その艶っぽい声で名を呼ばれたい衝動が襲った。








「俺の…名を…呼んでくれ…」





「…歳三…さん…」






名を呼ばれて、胸が震えて…快感に変わったのめ初めてだ。








下弦の月がーーー、





ひとつに重なる二つの身体を照らしていた。
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