下弦の月
極寒の地で迎える大晦日。
遠く遠くから僅かに聞こえるだろうか。
屯所の縁側で、二人で聞いた除夜の鐘。
港まで出て…海を眺めながら、
「もう…最後かもな。お前と年を越すのは…」
そんな、悲しい現実を突き付けられると……
わかっていても、泣いてしまいそうで。
唇を噛みしめる。
「…そうですね…だけど…歳三さんとは…まだ、あと少し一緒に生きられます…」
「そうか…雪が溶けたら新政府軍の奴らが来るだろうしな…それまでは、お前が悲しくないように寂しくないように…出来るだけ多くの時間を過ごしたいと思ってる。」
いつだって…その優しい声で、私が嬉しくなるような、
幸せになるような言葉を伝えてくれる。
だけど……この人の隣に立って居られるのも、
大きな背中を見つめられるのも、
大きな手で頭を撫でてくれるのも、
唇を重ねられるのも、
逞しい腕に抱かれるのも、
あと、僅か。
三月には、新政府軍が攻めて来て……
五月には…別れが来る。
避けられない、避ける事を許してくれない別れを……
その時、私は受け入れられるだろうか。
遠く遠くから僅かに聞こえるだろうか。
屯所の縁側で、二人で聞いた除夜の鐘。
港まで出て…海を眺めながら、
「もう…最後かもな。お前と年を越すのは…」
そんな、悲しい現実を突き付けられると……
わかっていても、泣いてしまいそうで。
唇を噛みしめる。
「…そうですね…だけど…歳三さんとは…まだ、あと少し一緒に生きられます…」
「そうか…雪が溶けたら新政府軍の奴らが来るだろうしな…それまでは、お前が悲しくないように寂しくないように…出来るだけ多くの時間を過ごしたいと思ってる。」
いつだって…その優しい声で、私が嬉しくなるような、
幸せになるような言葉を伝えてくれる。
だけど……この人の隣に立って居られるのも、
大きな背中を見つめられるのも、
大きな手で頭を撫でてくれるのも、
唇を重ねられるのも、
逞しい腕に抱かれるのも、
あと、僅か。
三月には、新政府軍が攻めて来て……
五月には…別れが来る。
避けられない、避ける事を許してくれない別れを……
その時、私は受け入れられるだろうか。