下弦の月
「いやぁ~、あんな綺麗で気が利く子が側にいてくれて羨ましいよ。」







「悪いが…あいつは俺のだ。」






「わかってるよ。ところで、新政府軍は攻めて来ると思う?」






「来る。雪が溶けたらすぐにでもな…」






「そうだね、だから今から対策を練っておかないと。」






「ああ…もう部下を失うのは御免だからな。」






「土方くん、らしい言葉だね。だけど…もし、だよ?君が死んだら彼女はどうするつもり?」






この質問に…答えを探す。



いいんだろうか、この時代の人間ではないことを話しても。




そんな躊躇いはあったが。






「あいつは…この時代の人間じゃねぇんだ。約150年後から来たらしい…だから元の時代に帰らせる。」






他に答えが見つからず、この人なら大丈夫だろうと月香の素性を話した。







「…驚いたよ、そんな事があるんだね。だけど…君に出会うために彼女は時代を渡って来たのかもしれないね。」







「ふんっ…そうかもな。俺が今…話した、あいつの事は他言はしないでくれるか?」






「もちろん、話さないよ。それじゃ…また後で…」







大鳥さんが出て行った後に、溜め息をついた。





何をしに来たんだ?




大鳥さんなりに、心配してくれているんだろう。




あの人が月香の部屋まで用意してくれたんだからな。




感謝はしてるんだが……。
< 82 / 161 >

この作品をシェア

pagetop