下弦の月
雪が落ち着き始めた三月中旬ーー。





新政府軍襲撃の情報が入り、




甲鉄艦奪取ため宮古湾に向かったが、




失敗に終わり……多くの死者を出してしまった。









港に無事に到着した俺を、港で出迎えた月香。








「中で待ってろって…言っただろ?」






「すいません…手が空いたら…落ち着かなくて…頼んだら…行っていいと…先生が言ってくれたので…心配で…」







「…ったく…ただいま。」






「おかえりなさい。」






抱き締めた腕の中で、見上げた月香は満面の笑みをくれた。






死者を出したことへの悔いが、消えて行くようだった。
















四月に入り、新政府軍が乙部に上陸して来やがって。





俺は、二股口で防衛戦をしていた。




そこで、動揺する士気を高めるため皆に酒を振る舞った。






「無事に、防衛出来たら…たらふく飲ませてやるから一杯だけで我慢してくれ。」






皆は笑って、了承してくれた。






この防衛戦は、連勝したのだが…大鳥さんが防衛していた松前口が破られ。





やむを得ず退却し、五稜郭に帰還した。
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