下弦の月
翌日の月曜日ーー。
来週で、定年退職する部長の代わりに新しい部長が来る日だった。
噂では、此処よりも大手のオリオン製薬から社長がヘッドハンティングしたらしい。
「月香さん、どんな人ですかね?イケメンだったら…どうしよう。」
出社したと同時に駆け寄って来て、
そんな事を言っているのは後輩の佐藤 栞。
入社2年目で、7年目で既にお局的存在の私は彼女の教育係。
「さぁ…わかんないけどさ…今の部長みたいに部下を大切にしてくれる人なら、いいとは思うけど…」
「それは、そうですけど……月香さん…どんな顔とか興味ないんですか?」
「興味ないよ。」
「まさか…彼氏が出来たからとか?」
「もう…相変わらず、居ないわよ。」
「月香さん、綺麗だし…勿体ない。社内でも…人気あるし。」
「私は…作らないの!」
そう言っても、しつこく……言って来る栞ちゃんにウンザリしている所へ。
部長が新しい部長と共に、部内に入って来て。
救われたんだけど……
新しい部長を見て、私は固まっていた。
凛とした佇まいが、切れ長のダークブラウンの鋭い瞳が。
ずっと…ずっと…待ち焦がれていた歳三さんに似ている気がしたから。
「来週から、新しく部長として来てくれる安藤くんだ。」
部長が紹介していても、新しい部長の安藤さんを見つめていた。
「今、紹介に与りました安藤です。正式には来週からですが、引き継ぎもあるので本日から宜しくお願いします。」
彼と瞳が合った瞬間……、
心臓が煩いくらいに、音を立てていた。
呆然と見つめる私は、
「水上!安藤くんに社内の事を教えてやってくれ?」
部長の声でハッとして、
はい。わかりました。と返事をして。
安藤さんを案内することになった
来週で、定年退職する部長の代わりに新しい部長が来る日だった。
噂では、此処よりも大手のオリオン製薬から社長がヘッドハンティングしたらしい。
「月香さん、どんな人ですかね?イケメンだったら…どうしよう。」
出社したと同時に駆け寄って来て、
そんな事を言っているのは後輩の佐藤 栞。
入社2年目で、7年目で既にお局的存在の私は彼女の教育係。
「さぁ…わかんないけどさ…今の部長みたいに部下を大切にしてくれる人なら、いいとは思うけど…」
「それは、そうですけど……月香さん…どんな顔とか興味ないんですか?」
「興味ないよ。」
「まさか…彼氏が出来たからとか?」
「もう…相変わらず、居ないわよ。」
「月香さん、綺麗だし…勿体ない。社内でも…人気あるし。」
「私は…作らないの!」
そう言っても、しつこく……言って来る栞ちゃんにウンザリしている所へ。
部長が新しい部長と共に、部内に入って来て。
救われたんだけど……
新しい部長を見て、私は固まっていた。
凛とした佇まいが、切れ長のダークブラウンの鋭い瞳が。
ずっと…ずっと…待ち焦がれていた歳三さんに似ている気がしたから。
「来週から、新しく部長として来てくれる安藤くんだ。」
部長が紹介していても、新しい部長の安藤さんを見つめていた。
「今、紹介に与りました安藤です。正式には来週からですが、引き継ぎもあるので本日から宜しくお願いします。」
彼と瞳が合った瞬間……、
心臓が煩いくらいに、音を立てていた。
呆然と見つめる私は、
「水上!安藤くんに社内の事を教えてやってくれ?」
部長の声でハッとして、
はい。わかりました。と返事をして。
安藤さんを案内することになった