一ノ瀬くんになら騙されてもいい。
プロローグ ー最悪な別れからー
「有紗!千葉先輩と別れたってまじ!?」
バレー部の部室で友達の才川真紘(さいかわ まひろ)が大声でそう言った。
「うん、まあね」
私は以前、平然とマネージャーとしての業務をこなしていく。
「うえええぇぇなんで!?長かったじゃん2人!どうして?喧嘩でもしたの??」
喧嘩……か。
そういえば付き合ってた頃しなかったな…1回も。
初めての彼氏で、初めてのお付き合い。
半年以上は続いていたけど、別れた原因といえば……
「ホラ、先輩もう3年生でしょ?県外のS大学行くって言ってたから、勉強の邪魔になるだろうし。だから別れたの」
「そこで寄り添って支えるのが彼女じゃん〜!ん?てか待って。フッたの有紗から?」
あっ、しまった。
「……まあ、そうだね。私からフッたって事は言わないでおいて」
余計な追求はされたくないからね…。
「…分かった。え〜でも受験で別れるなんてもったいないなぁ。」