恋歌-Renka-
「え、エゴ?」
「だってそうだろ?過去に何があったとか僕にはわからねぇけど、そんなのただ逃げてるだけじゃねーか。」
「べ、別に逃げてなんか……」
「逃げてんだろ…自分が裏切られて傷つくのが怖いから?ふざけんな…じゃあ涼太は傷ついてもいいのかよ?」
「よ、よくない!!」
「なら真っ直ぐぶつかれよ!過去と向き合えっ!過去は過去で今は今!みんながみんな一緒なわけじゃない。花音ちゃんの目には涼太がそんな簡単に人を傷つけるような奴に見えるわけ?」
「見え…ない…」
見えない
それは私の本心
私はただ過去を恐れて
周りの人間を全て
母親に重ねて
他人を拒絶して
現実から逃げてきただけだ。
美盛の言葉はかなりキツいけど
それは全て事実で
私は愚かだなと
改めて実感した。
「やっとわかった?」
いつもの笑顔に戻った美盛が
押し倒した私の体を
ゆっくりと起こした。