恋歌-Renka-
病気の正体は恋だ
やっと気づいた…
いや、気づかせてくれた。
私はこんなにもたくさんの
友人に恵まれているではないか…
「…っ…間に合ってっ!!」
帝が何処にいるかなんて
わからなかったけど
私はあちこち必死に探して
走り回った。
「あれ、花音さん」
呼び止められて足を止める。
振り返ると西谷が立っていた。
「に、西谷!帝、見なかったか!?」
「帝……ですか…?」
私の言葉に西谷の表情が曇る
「下駄箱にまだ靴があったから、校内にいるはずなんだが…」
西谷に説明しながら
辺りをキョロキョロする
「花音さん……」
すると彼が真剣な声で
私の名前を強く呼んだ。
「ん、何だ?」
「帝が好きですか?」
いきなりの質問に戸惑ったが
「私は…帝が好きだ!」
真剣に強く答えた。
「そうですか…。じゃあ俺も諦めないといけませんね」
悲しそうに笑いながら
西谷が私を見つめる
「ごめ……っ!?」
私がいたたまれなくなって
謝ろうとした瞬間
人差し指で私の口を押さえた
「謝るの禁止」
と妖艶に微笑む
初めて話しかけられたときから
イケメンだとは思ったけど
こいつの笑顔ちょっと色っぽい。
私は首を縦に振って
何度も頷く
「わかれば良し!」
フッと笑って人差し指を離し
私の頭をポンポンと叩く。
その西谷の優しさに
泣きそうになるけれど
今は泣いてる場合じゃない
早く帝を見つけなきゃ!!