恋歌-Renka-
*蒼 side*
屋上にただ一人
ポツンと取り残された
「大好き……か」
僕は力なくそう呟いて
その場にズルズルと
しゃがみこんだ。
花音ちゃんにバカバカ
言ったけど、やっぱり…
自分が一番バカかもしれない。
「はぁあああああぁっ」
盛大に溜め息をつく。
告白できないまま
親友の恋の為に
彼女の背中を押してあげる僕は
どんだけお人好しなんだろう?
「好きだよ…幸せになってね」
僕は誰もいない空虚を
見つめながら儚げに呟いた。
「ねえ、それ…私じゃ埋められないかな?」
びっくりして後ろを振り返ると
そこには坂梛さんがいた。
「さ、坂梛さん!?いつの間にそこに!?」
「今さっき…。ねえ、私じゃ埋められないかな?」
真剣な顔をする坂梛さんに
魅了されて思わず顔が赤くなる
「私、美盛くんの事が好きなの…。」
ほんのり顔を赤く染めて
はっきりと僕にそう言った。
あれ?
坂梛さんて意外と可愛い?
「ダメかな?」
上目遣いに聞いてくる彼女。
そんな坂梛さんにキュンとする。
傷心中を狙うなんて
坂梛さんもなかなかだね……
ってか……あはは………
もしかして新しい恋の始まりかな?
僕は差し出された坂梛さんの
手を強く握ったーーーー
*蒼 side END*