恋歌-Renka-
「うん。……それは涼太が悪いよね」
美保の言葉に安心するが
次の言葉に一気に顔が引きつる
「でも、花音も悪いよね」
「え?」
「涼太の気持ち考えてみた?」
あいつ………帝の気持ち?
私が何も言えずにいると
美保はさらに話を続ける。
「確かに理由も言わずに、先輩を貶した涼太も悪い……けど、自分の彼女が他の男と楽しそうに絡んでるとこ見て怒らないわけないよね……」
「それなら蒼と西谷だって絡んでるじゃないか!!」
「あのね、西谷と美盛は涼太の親友だよ?涼太からしたら、信頼のある親友たちが花音と絡むのと、信頼のない先輩が気安く花音に絡むのとでは、全然意味が違ってくるのよ!」
美保の言ってる意味が
わからないわけじゃない。
でも、そんなの矛盾してないか?
私はそんなに信用されてない?
そう思ったら涙が出てきた。
「か、花音さん!?」
西谷がギョッとして私を見る。
「美保、言い過ぎだよ!」
とオロオロする萌奈
「ご、ごめん!」
美保が私を優しく抱き締めて
背中を擦る………
「美保の…せ、せいじゃ……ないよっ………」
涙声のせいで上手く喋れない
拭っても拭っても止まらない涙
美保に抱き締められたまま
彼女の胸に顔を埋めて
泣き続けたーーーーー