恋歌-Renka-



恐る恐る目を開けてみると




そこには男たちの攻撃を
華麗にかわして次々に悪ガキたちを
倒していく女の子の姿が……




外見、容姿からは
まったく想像が出来ない
その女の子を…ただ



呆然と見ていた。





悪ガキたちを倒した女の子は
ランドセルを拾って
俺のもとに駆け寄り



「はい」



と笑顔でランドセルを差し出す。




「ありがとう!!君、強いね!」




俺はそれを笑顔で受け取り
お礼を言う。




この時すでに彼女の圧倒的な
力に魅了され、恋に落ちていた。




しかし、幼い俺はその感情に
まだ気づいていなかった。




「まあね!って………いけないっ!!」



鼻で笑ったかと思えば
急に叫び出すから
思わず体がビクッと
してしまった。



「ど、どうしたの?」



「この間、喧嘩して師匠に怒られたばかりだった!」




「し、師匠?」



「そう!空手道場の師匠!今日みたこと誰にも言っちゃダメだよ!」




そんなことを笑顔で言いながら
彼女は去って行った。




「あ……名前聞き忘れちゃった。」




その日から俺は数ある空手道場を
宛もなく探し回った。
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