恋歌-Renka-
「あー、僕………受かる気しないよ」
「蒼、バカだもんな」
俺が鼻で笑ってバカにすれば
「その自慢の顔ズタズタにするよ?」
笑顔で恐ろしいことを口走る。
学校の門をくぐって
試験会場へ足を運ぶ
「あーうぜ。人多すぎ!」
「ねー、ありえないくらい人がいる。」
「まあ、ここの高校すごく人気ですからね」
3人で話ながら歩いていると
正面から長い髪の小さな
女の子がスタスタと歩いてくる
そして俺の横を通り過ぎて行った。
「わー、今の子可愛いかったね!」
「容姿がドストライクでした。」
俺は小さくなっていく彼女の
背中を見つめながら
「花音………」
そう呟いていた。
ーーーーーーー
試験を終えたあとで
さっきの女の子を捜そうと
思ったけれど
あまりの人の多さに
途中で断念した。
幼かった頃の彼女よりは
顔も背格好も変わっていた
けれど俺が大好きな彼女の
顔を見間違えるわけなくて
あれは花音だ!
そう思ったら期待は
膨れ上がるばかりで
合否さえわからないのに
入学式の日が待ち遠しくなった。