恋歌-Renka-
HRが終わってすぐ
花音のもとへ行こうとするが
それより早くスタスタと
教室を出ていってしまう
「花音!!」
花音のことを追いかけようと
席を立つが
「ねぇ、帝くん、アドレス教えてよ~!」
「一緒に写メ撮ってー!」
女子たちに行く手を阻まれる。
「ごめん、まじ今それどころじゃない!!!」
女子を押し退けて
下駄箱まで向かう
しかし時既に遅し
花音の姿はどこにもなかった。
俺はがっくりと肩を落とし
蒼と優樹のいる教室に戻った。
「さっきの子って、入試のときいた可愛い子だよね~!名前まで覚えちゃってさ、一目惚れ?」
教室に戻るなりニヤニヤ
笑いながら聞いてくる蒼
「ああ、冬院さんでしたっけ?彼女、俺の隣の席ですよ」
と右隣を指差す優樹
「ちげーよ、バカ。あれが前、言ってた俺の好きな人だよ………。って………優樹、隣だったんだ?」
「あれ、知らなかったんですか?ってか普通見てればわかりますよね」
「ごめん、優樹。俺の眼中には花音しか入ってなかった。」
「どんだけw」
蒼が腹を抱えて大笑いする
でも、そんなこと
気にならないくらい
今の俺は寛大だったりする……
神様が奇跡を起こしてくれたから。