恋歌-Renka-
「大丈夫?」
俺が心配してそう聞くと
「まあ、礼は言う。ありがとう。」
なんとも素直じゃない
返事が返ってきた。
あれ?花音って
こんな素直じゃない
奴だったっけ?
しゃべり方こんなんだったか?
いろいろな疑問が頭に浮かぶが
とりあえずそれは置いといて
「素直じゃないんだね。冬院さんって。」
そんなことを言ってみる。
すると花音は目を真ん丸にして
見開きながら
「私を知っているのか?」
なんて聞いてくる……
まさかーーーーー
覚えてない?
「知ってるよ、同じクラスだもん。俺は帝 涼太。覚えてね?」
名前を言えば思い出して
くれると思って
さりげなく名前を口にするが
全く効果なしーーーーー
俺はあまりにもショック過ぎて
手をひらひらさせながら
即座にその場を去った。