恋歌-Renka-



店内にいる女性客が





「きゃあーーーっ!!!」




と叫び、他の男性客や
生徒たちも目を見開いて
俺を見るーーー。




ても、そんな視線なんか
気にならないほど
目の前のこの男に
腹が立っているわけで…




殴った拍子に尻餅をついた
先輩の胸ぐらを怒りまかせに
鷲掴みにする。





「あのな、先輩さんよ。言っとくけど………花音は俺の大切な女なんだよ。だから俺以外の人間が容易く手出しちゃいけないわけ……」





先輩は俺の声に
怯えた様子もなく
馬鹿にしたような
笑みを浮かべる。





「わかったなら…とっとと失せろ。そして二度と花音に近づくな……もし、一歩でも近づいたら………そんときは覚悟しとけよ?」





冷静に……しかしいつもより
何倍も低いトーンで
先輩を睨みつける。





「おー、怖い怖い。でもね、お前なんかより俺の方が、何百倍も花音を楽しませてあげられるけど?………こうやって……」




俺を突き飛ばして立ち上がるなり
花音に近づいて彼女の首筋を
ペロッと舐める………




「ひゃあっ///」





舐める…………?



は?



何してんの?




なんつー声出してんの?




俺が先輩を殴ろうと拳を
振り上げるより先に




パァンッ




乾いた音が教室中に
鳴り響いたーーー
< 153 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop