恋歌-Renka-
先輩の頬を張り飛ばしたのは
花音だったーーーーーー
みんなが呆然とする中
「お前なんかより………だって?………ふざけるな…。見損なったぞ、伊里沢 塁。」
今までに一度も聞いたことない
恐ろしく低い声で話す。
「花音?」
花音の豹変ぶりに驚いてるのは
どうやら俺だけじゃないようだ…
先輩が驚いたような
焦ったような顔で
彼女の名前を呼び
再び触れようとする
しかし花音はそれを
軽くかわして先輩の腕を
捻り上げた。
「ーーーー…っ!?」
先輩の表情が
痛みのせいで歪む……
「お前のような卑劣な人間に帝を馬鹿にする資格はない。楽しませる…だ?笑わせんな。私は死んでもお前なんか好きにならない……。
私が好きなのは帝 涼太ただ一人だーーー彼以外を好きになる事なんか絶対にない………次、私に触れてみろ……この腕へし折るぞ……。」
花音の言葉が凄く嬉しくて
思わず涙が出そうになる
それをギュッと堪えて
「か、花音?」
恐る恐る、彼女の名前を呼んだ。
俺の声で我に返ったのか
ビクッと体を震わせて
先輩を突き放すと………
そのまま教室を
出ていってしまった。