恋歌-Renka-
「だからそんなに落ち込んでるんですね…」
「ああ…」
「まあ、確かに花音さんからしたら腹の立つことかもしれませんね」
「本当だよ……むかつくっ!」
「でも……もしかしたら帝にも、彼なりの事情があるんですよ………」
「事情?」
首を傾げて尋ねる
「たとえばバイトをしなきゃいけない事情とか………?」
そんな事を言われても
やっぱり納得出来ない……
もし、何かしら事情が
あるんだったら
何故、隠す必要がある?
相談してくれたって
いいじゃないか……
「まあ、憶測ですけどね」
憶測か………
どっちにしろ今日も明日も
もう会えないんだ………
私は再び何もない
虚空を見つめて
溜め息をついた。