恋歌-Renka-



公園に着くなり
帝の姿を探す




いた!!!





公園のど真ん中には
後ろ姿を見せながら
帝が突っ立っている





「帝!」




私がそう叫べば
彼はゆっくりと振り向き





にこやかな笑顔で…………
っていうのはただの私の空想で
しかめっ面をした帝が




「遅い」





と一言呟いた。





「はぁ……はぁ………こ、これでも走って来たんだぞ!!それよりお前バイトなんじゃ!?」





私は今一番の疑問を
帝に投げつける






すると彼はクスッと笑って






「そんなの嘘に決まってんじゃん。はい、サプライズだよ花音……」






そうやって私の左手を取り
薬指にキラリと光る物をはめる。







「え…ーーーーーーーっ!?」






私は目を真ん丸に見開いて
自分の薬指を見つめる






私の薬指には指輪がはまっていた。





「メリークリスマス………花音。」






「これ………私が欲しいって言ったからか?だからその為にバイトしてたのか?」




私がずっと
欲しがっていた
ペアリング………



バイトしてまで
買ってくれるなんて
どんだけ優しいんだお前は。





「んー、まあ正直それもあるけど………一番の理由は………花音は俺のだっていう、証が欲しかったから?」




そうやってイタズラに笑って
私を強く抱きしめる




「ありがとう!ありがとう!ありがとう!」




「もう、そんなに泣かないでよ」




「違う……これは嬉し涙だ!!!」





「なぁ………花音」




帝が私を強く抱き締めたまま
話しかけてくる………




「何だ?」




私は帝の胸に顔を
埋めたまま聞き返す




そして彼は耳元で私に




「愛してるよ……」




と囁いたーーーーーーー。
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