恋歌-Renka-



「花音が……助けてっていったとき、中学生たちが一斉に振り向いて、俺……怖くなって逃げたんだ」




そこまで聞いて
おかしな発言が
あったので




「ちょ、ちょっと待て!誰が何て言ったって?」




私は涼太に
聞き返してみる



「だから………俺と目があったとき、助けてって言ったろ?」




今度は逆に涼太が
不思議そうに聞いてくる




私がお前に助けてと言った………
何を勘違いしているんだ?




「バカだな、涼太は。私、助けてなんて一言も言ってないぞ?」




「へ?」




私の言葉に驚いたのか
間抜けな声をだして
口をポカンと開ける。




「私は"助けて"じゃなくて"逃げて"って言ったんだ!」




「え…でも。じゃあ何であんなに殴られてたんだ!?」





「ああ、あれは。中学生たちを優越感に浸らせてやっただけだ。もちろん、お前がいなくなった後で、こてんぱにしてやったけどな!」




勝ち誇ったように
ニヤリと笑う




「はぁああああああ」




盛大な溜め息をついて
落胆する涼太




「てっきり、花音が人間不振になったのは俺のせいかと思ってたよ」





「本当にバカだな涼太は。私がこうなったのはお前のせいじゃない。それに今はこうして一緒にいれてるし……」





私は満面の笑みを
涼太に向けた………





「うん、そうだな」




涼太も優しく微笑んだ。
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