恋歌-Renka-
しかし………
汐莉おばさんは
涙を流すだけで
何も答えない………
「汐莉おばさんの変わりに俺が説明しよう………」
父親と名乗る男が
再び口を開く
「俺と汐莉おばさんはな………4年前から親権を争っていたんだ」
あまりにも予想外で
衝撃的な事実に
言葉を失う………
4年前って………
私が中1のときじゃないか!!
「俺は日本で、音楽会社の社長を勤めている………。昨年……アメリカの方にも企業を展開してな………」
そんなバカな話があるか
だいたいお前は
私の母親と離婚して
私たちを見捨てたじゃないか…
なのに………何を今さら……
「そして……その親権争いが今日でやっと終わったんだよ」
「ま…まだ終わってないわ!!」
今まで口を閉ざしていた
汐莉おばさんが興奮気味に怒鳴る
「まだ、最高裁判が残っているわ!!!」
「本当に諦めの悪い女だな……汐莉さんよ。あんたの経済的能力と俺の経済的能力からみて、俺が優位な位置に立ってるのは間違いないんだよ」
汐莉おばさんが
何も言い返せずに
唇を噛み締める
その唇から微かに
赤い血が滲む。
「私は認めない!!私はお前のとこになんか行かない!!汐莉おばさんから離れない!!」
私は自分の本当の気持ちを
言うなり、リビングを
飛び出して自室に
閉じこもったーーーーー