恋歌-Renka-
霧山を引き剥がそうと
腕に力を入れるが……
う、動かない!?
焦りと恐怖で体が震え出す私を
霧山はバカにしたように笑う
「あはは……バカだね花音。君が強い事は噂で聞いてるよ………でもね、所詮………君も女の子なんだよ」
そういって私の首もとに
顔を埋めると舌で首筋をなぞる
「………ひゃあっ………や、やめっ………」
怖い怖い怖い怖い怖い!!
私の頭の中は目の前にいる
この男に対してもはや
恐怖以外の言葉は浮かんでこない。
「彼氏と婚約者。頭いい君ならわかるよね?どっちが有利か……」
「な、何が言いたい!?」
私は霧山を思いきり睨む
しかし怯むことなく
私を近距離で見据えて
「あいつ………帝 涼太と別れろ」
無表情のまま淡々と告げる
何故名前を知ってる?
何故別れなきゃいけない?
「クスッ………どうして?って顔してる。それはね………全部、決められた運命(さだめ)だからだよ」
運命(さだめ)?
どいつもこいつも
何を言ってるんだ………
「だから花音は、あいつと別れて俺と結婚するんだよ………」
ふざけるな!!!
それに………
「お前、あいつの息子なんだろ!?もし、本当に私が奴の娘だとしたら、お前は血の繋がった兄弟なんだぞ!?結婚なんて出来るわけ………」
「あぁ、それは大丈夫。俺、あの人の本当の息子じゃないから………」
「え?」
どういう意味だ?
私の頭は混乱するばかり。
今、起きているのは
きっと夢だよな?