恋歌-Renka-



「俺……捨て子だから。」




「え……」




悲しげに霧山が呟く……





「俺は赤ん坊の頃、施設の前に捨てられたんだ………それをあの人が養子として引き取ってくれたわけ。」





そんな霧山の姿が
過去の自分と重なる





「そ、そうだったのか………なんか悪いこと聞いたな。でも、だからって私がお前と結婚する理由にはならない!」




こんなやつに
心揺らしてどうする?




「そんなこと言ってられるのも…今のうちだよ。1年後……アメリカへ行く」





「アメリカ?………ま、まさか!!……そこへ私も連れていくつもりか?」




「当たり前じゃん………だからあいつとは別れて」





「ハッ………バカかお前。そんなこと言われて、はいはいそうですかって別れる奴がいるとでも思っているのか?」





「さぁ?いないんじゃない?」





だったら言うな!!




するといきなり霧山が
ニヤリと不適な笑みを浮かべる




「何がおかしい?」




私は霧山を睨み付ける




「別れないっていうなら………俺があいつの家族壊してやるよ」






は!?






「なっ………!!!そんなのハッタリだ!!!」






何を言い出すんだコイツ!?
頭わいてんのか??




「嘘だと思うなら……そう思っててもいいよ。ただ……後悔しても知らないから」




彼は後半の言葉を強く残して
私の部屋を出ていった………




帝家を壊す?
何をどうやって?




所詮そんなのただの脅しだ
ハッタリに決まってる





もし万が一何か起きたとしても
私が必ず守ってやる!!!
< 183 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop