恋歌-Renka-
コンコン
「花音……入っていい?」
ドアを叩く音と共に
汐莉おばさんの声がする
「ああ…」
私の返事を聞いて
部屋に入ってきた
「花音ごめんね………」
「汐莉おばさんのせいじゃないよ……それから裁判はもうやめてくれ。」
「か、花音!?」
私の言葉に驚いたのか
目を見開く汐莉おばさん
「もう裁判はしなくていい……裁判は大金がかかるんだろ?今まで一体どんな苦労をしてきたんだ?一人で何もかも背負って………」
私の言葉に涙を流しながら
思いきり私を抱き締める
「汐莉おばさんは私の母親の代わりじゃない………れっきとした母親だ。私をここまで育ててくれてありがとう」
日頃の感謝を
やっと伝えられる時がきた
「たとえ親権があいつに渡ったとしても、汐莉おばさんは永遠に私の母親だ………大好きだよお母さん」
「わ、私も………私も大好きよ花音!!!アメリカになんて行かないわよね?」
おそらく汐莉おばさんは
私の父親から聞いたのか………
「心配しないで………私は汐莉おばさんから離れる気もないし、涼太と別れるつもりもない」
「よ、よかった………あなたがいなくなったら私……」
「大丈夫………」
私は汐莉おばさんを
ギュッと抱き締め返して
微笑んだ………
その日は親子二人
仲良く一緒に眠りについた………